日帰り温泉施設は、地域住民の憩いの場であるとともに、観光や地域活性化を支える重要な拠点でもあります。
しかし近年は、人口減少やライフスタイルの変化、民間温浴施設との競争などにより、施設を取り巻く環境は大きく変化しています。
こうした状況の中で、
「利用者数は一定数いるのに売上が伸びない。」
「お風呂に入ったらすぐ帰ってしまう。」
「もっと施設内を利用してほしい。」
といった悩みを抱える温泉施設も少なくありません。
私たちも、日帰り温泉施設の運営支援を行う中で、「利用者は来ている。でも売上につながらない」という声を多く耳にします。
その中で感じるのは、温泉そのものが課題なのではありません。
本質的な課題は、「お風呂に入る場所」ではなく、「時間を過ごしたくなる場所」として施設全体を設計できていないことです。
今回は、地域から選ばれる温泉施設に必要な「滞在価値」の考え方についてご紹介します。
温泉の価値は「お風呂の外」で決まる
温泉施設の役割は、入浴サービスを提供することだけではありません。
・食事を楽しむ。
・地域の商品を購入する。
・景色を眺めながら休憩する。
・地域のイベントに参加する。
利用者は、お風呂だけではなく、館内で過ごす時間を含めて施設全体を体験しています。
受付で迎えられ、館内を歩き、食事を楽しみ、売店を見て、休憩する。
そのすべてが「温泉施設の体験」です。
こうした利用者が多い施設ほど、「また来たい」という気持ちにつながっていることを実感します。
温泉は、滞在のきっかけであり、その先に地域とのつながりを生み出す入口でもあるのです。
「入浴後」をどう過ごしてもらうかを考える
利用者は、お風呂から上がったあとに施設を評価しています。
「もう少しゆっくりしたい。」
「何かおいしいものを食べたい。」
「地域ならではのお土産を見てみたい。」
こうした気持ちに応えられる施設は、自然と滞在時間が長くなります。
例えば、
・地域食材を活かした食事を提供する。
・季節ごとのイベントを開催する。
・売店で地域のストーリーを伝える。
・ゆっくり過ごせる休憩空間を整える。
一つひとつは小さな取り組みかもしれません。
しかし、その積み重ねが、「お風呂に入りに行く施設」から「一日を過ごしたくなる施設」へと変えていきます。
地域から選ばれる温泉施設は「滞在価値」を育てている
私たちがこれまで支援してきた施設を見ると、地域から選ばれ続けている施設には共通点があります。
『地域の魅力を施設全体で伝えている。』
『利用者が過ごす時間を大切にしている。』
『地域事業者との連携を広げている。』
『現場で小さな改善を積み重ねている。』
そして、その取り組みを継続しています。
温泉施設は、お風呂を提供するだけの施設ではありません。
地域で過ごす時間を楽しみ、人と地域をつなぐ場所でもあります。
だからこそ、これからの温泉施設には、入浴者数だけではなく、
「どれだけ滞在したくなる施設になっているか」という視点も重要ではないでしょうか。
「お風呂に入る施設」から、「地域で過ごしたくなる施設」へ。
滞在時間が長くなることで、食事や売店の利用にもつながり、結果として客単価の向上や地域への経済効果にもつながっていきます。
そのために、施設全体の滞在価値を少しずつ育てていくことが、地域から選ばれ続ける温泉施設づくりにつながっていくのではないでしょうか。

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