『選ばれる地域』を目指す前に、地域の中で共有したいこと
シティプロモーションサイトと成功事例から考える、共感が続く情報発信の設計
「地域の魅力をもっと多くの人に知ってほしい」
「観光や移住、地域産品の購入につながる情報を発信したい」
「住民にも、自分たちの街の良さを改めて感じてもらいたい」
こうした想いから、シティプロモーションに取り組む自治体や地域は少なくありません。
シティプロモーションとは、地域にある魅力や価値を整理し、地域内外へ伝えながら、地域への認知・関心・共感・愛着を育てていく取り組みです。
Webサイトをつくる。
動画やSNSで発信する。
観光や移住の情報を届ける。
地域産品や地域で働く人を紹介する。
いずれも大切な方法ですが、シティプロモーションは、情報発信の手段を増やすことだけではありません。
どれほど美しい写真や映像を用意しても、
地域として何を伝えたいのか?誰とどのような関係を育てたいのか?…という軸が定まっていなければ、発信する内容がばらばらになってしまうことがあります。
また、地域外から注目されることばかりを優先すると、そこで暮らす住民の実感や地域事業者の想いとの間に、少しずつ距離が生まれることもあります。
シティプロモーションで大切なのは、地域外から『選ばれること』だけではありません。
その前に、地域の人たちが自分たちの街にどのような価値があるのかを知り、その価値を共有し、自分たちの言葉で語れるようになることです。
私たちは、道の駅、温浴施設、公共施設、直売所、第三セクター、指定管理事業などの現場に関わるなかで、地域にはまだ十分に知られていない魅力がある一方、その魅力が地域の中でも言葉になっていない場面を見てきました。
地域にとって当たり前の風景や文化、仕事、暮らし、人とのつながりは、日常の中にあるからこそ、その価値に気づきにくいことがあります。
シティプロモーションとは、外部へ向けて新しいイメージをつくることではなく、
地域にすでにある価値を見つけ直し、磨き、地域の内と外へ伝わる形にしていく取り組みでもあるのです。
地域の認知度や関心、愛着を高めながら、交流人口・関係人口・定住人口とのつながりを育てることも、
シティプロモーションが持つ役割の一つとされています。
この記事では、シティプロモーションとは何を目指す取り組みなのかを整理しながら、
発信する前に考えたい地域の軸、シティプロモーションサイトの役割、成功事例から学ぶ際の視点について考えていきます。
1)シティプロモーションとは、地域の『らしさ』を共有する取り組み
シティプロモーションという言葉には、『プロモーション』が含まれています。
そのため、広告、宣伝、集客などを中心とした取り組みだと考えられることがあります。
もちろん、地域の認知度を高めることは重要です。
地域の存在や魅力を知らなければ、
訪問、購入、移住、仕事、地域活動への参加など、次の行動にはつながりません。
しかし、認知度が上がることと、地域の持続的な発展は必ずしも同じではありません。
一時的に話題になっても、訪れた人が地域との接点を持てなければ、関係はその場で終わるかもしれません。
地域産品が注目されても、
その成果が地元の生産者や事業者へ十分に循環しなければ、地域全体の豊かさにはつながりにくくなります。
移住への関心が高まっても、
実際の暮らしや仕事、地域との関わり方が見えなければ、次の一歩を踏み出すことは難しいでしょう。
だからこそ、シティプロモーションでは、発信の先にある関係まで考える必要があります。
どのような人に地域を知ってほしいのか。
その人に、何を感じてもらいたいのか。
地域を知った後に、どのような関わり方を選んでほしいのか。
そして、その関係が地域住民や事業者にどのような価値をもたらすのか。
こうした問いを重ねることで、シティプロモーションの目的が少しずつ明確になっていきます。
地域によって、目指す姿は異なります。
観光客との再訪関係を育てたい地域もあれば、地域産品を継続的に購入してくれる人を増やしたい地域もあります。
地域外で暮らす出身者とのつながりを取り戻したい場合もあれば、地域の仕事や活動に関わる関係人口を育てたい場合もあります。
あるいは、外部への発信より先に、住民が地域の価値を共有し、街への愛着や誇りを深めることが必要な地域もあるでしょう。
シティプロモーションには、すべての地域に共通する一つの正解があるわけではありません。
歴史や文化、産業、人口構成、交通環境、地域資源、住民感情、担い手などが異なれば、伝える内容や届ける相手、選ぶ方法も変わります。
そのため、キャッチコピーやロゴを先に決めるのではなく、
まずは地域の中で、
「私たちの街には、どのような価値があるのか」
「これからも大切に残したいものは何か」
「地域外の人と、どのような関係を育てたいのか」
…という部分を話し合うことが大切です。
この過程に住民や地域事業者、施設運営者などが関わることで、
シティプロモーションは一部の担当者だけの事業ではなく、地域全体で価値を見つけ直す取り組みへと変わっていきます。
2)シティプロモーションサイトは、地域との『次の接点』をつくる場所
シティプロモーションを進めるとき、Webサイトは地域の情報をまとめ、継続的に届けられる重要な拠点になります。
『シティプロモーション サイト』と検索すると、
観光、移住、子育て、仕事、地域産品、地域で暮らす人へのインタビューなど、さまざまな切り口でつくられたサイトを確認できます。
こうしたサイトを参考にすることで、情報の見せ方や写真の使い方、記事の構成など、多くのヒントを得られます。
ただし、シティプロモーションサイトを、地域の魅力を並べるだけの場所にしないことが大切です。
観光スポット、特産品、自然、イベントなどを数多く紹介していても、読み手が、
「自分とどのような関係があるのか」
「この後、何をすればよいのか」
を理解できなければ、情報を見ただけで終わってしまうことがあります。
例えば、地域に関心を持つ人には、それぞれ異なる目的があります。
観光で訪れたい人もいれば、
地域産品を購入したい人、
仕事を探している人、
移住を検討している人もいます。
すぐに移住する予定はなくても、
地域のイベントや活動へ参加したい人もいるでしょう。
そのため、シティプロモーションサイトでは、誰に向けた情報なのかを整理し、その人が次の行動へ進める導線を考える必要があります。
・地域を知った人が、実際に訪問できる
・興味を持った人が、商品やサービスを購入できる
・地域での暮らしに関心を持った人が、相談や体験へ進める
・活動に共感した人が、地域との継続的な関わり方を見つけられる
こうした接点が用意されていることで、サイトは情報を掲載する場所から、地域と人との関係が始まる場所へ変わっていきます。
また、サイトでは地域の魅力を伝えるだけでなく、地域で暮らす人や働く人の姿を届けることも重要です。
地域の価値は、景色や施設だけにあるわけではありません。
農産物を育てる人、商店を続ける人、伝統や文化を守る人、子どもたちの暮らしを支える人、施設の運営に関わる人など…
地域には多くの想いと日常があります。
こうした人の姿や言葉が見えることで、読み手は地域を単なる場所としてではなく、人とのつながりがある場所として感じられるようになります。
ただし、地域の魅力を強く伝えようとするあまり、良い部分だけを見せることにも注意が必要です。
実際の暮らしには、交通、仕事、医療、教育、買い物、住まいなど、事前に知っておきたい情報があります。
地域でできることだけでなく、現在の課題や、これから地域が取り組もうとしていることを誠実に伝えることも、信頼関係を育てるうえで大切です。
そして、シティプロモーションサイトは、公開すれば終わりではありません。
誰が情報を集めるのか?
誰が記事や写真を更新するのか?
閲覧した人から相談が届いたときに、誰が対応するのか?…という運営の仕組みまで考える必要があります。
地域の情報は、日々変化します。
新しい活動や商品が生まれることもあれば、地域で働く人の想いや課題が変わることもあります。
地域の人たちが情報を見つけ、言葉にし、発信を続けられる体制をつくることが、シティプロモーションサイトを長く活かすための土台になります。
3)シティプロモーション成功事例から、何を学ぶのか?
シティプロモーションを検討する際、すでに行われている取り組みを調べることは有効です。
『シティプロモーション 成功事例』と検索すると、
Webサイト、動画、SNS、イベント、地域ブランド、移住促進、市民参加型の企画など…
さまざまな事例を確認できます。
成功事例を見ると、
「自分たちの地域でも、同じような動画をつくりたい」
「このサイトの構成を取り入れたい」
「同じようなキャッチコピーを考えたい」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、目に見える表現だけを取り入れても、同じ成果が生まれるとは限りません。
成功した取り組みには、
その地域が抱えていた課題や目指した姿、関係者の体制、住民との合意形成、発信後の活動など、
表からは見えにくい背景があります。
シティプロモーション成功事例を確認する際には、完成したWebサイトや動画だけでなく、次のような点にも目を向ける必要があります。
・どのような地域課題から取り組みが始まったのか
・誰に届けることを目指していたのか
・住民や地域事業者が、どのように関わったのか
・地域の価値を、どのような過程で言語化したのか
・発信後の問い合わせや来訪を、どのように受け入れたのか
・取り組みを継続する人や仕組みが残っているのか
このような背景を読み取ることで、表面的な手法ではなく、自分たちの地域でも活かせる考え方が見えてきます。
例えば、
住民参加によって地域の価値を掘り起こした進め方は参考にできるかもしれません。
対象となる人を明確にし、発信内容を絞り込んだ考え方も応用できるでしょう。
Webサイトだけで完結させず、訪問、購入、相談、地域活動への参加など、次の行動へつなげた設計から学べることもあります。
つまり、成功事例から学ぶべきなのは『何をつくったか』だけではなく、
『どのように地域と向き合い、誰と進め、どのように続けたか』という部分です。
現在の地方創生でも、地域が持つ本来の価値を再発見し、それぞれの特徴を活かしながら、自律的で持続的な地域をつくる考え方が重視されています。
他地域の事例を参考にすることは大切ですが、
そのまま横展開するのではなく、地域の歴史や文化、現場の状況に合わせて組み直す必要があります。
私たちは、全国共通の答えを外部から持ち込むのではなく、地域の声を聞き、複数の選択肢を整理しながら、
地域側が自分たちで選べる状態をつくることを大切にしています。
地域自身が納得して選んだ方法であれば、発信する言葉にも現場の実感が生まれ、取り組みを続ける力にもつながります。
4)シティプロモーションは、地域の内側から始まる
シティプロモーションでは、地域外へ向けた発信が目立ちやすくなります。
しかし、本当に地域の魅力を伝えるためには、まず地域の中で価値が共有されていることが重要です。
住民が知らない魅力を、地域外へ向けて発信し続けることは簡単ではありません。
また、行政が伝えたい地域像と、
住民が感じている日常、地域事業者が届けたい価値が大きく異なっていれば、
発信にも一貫性が生まれにくくなります。
シティプロモーションには、行政、住民、地域事業者、生産者、施設運営者、学校、地域団体など、多くの立場が関わります。
行政では、公共性や公平性、予算や制度などへの説明責任が大切です。
地域事業者には、地域への貢献とともに、事業を継続できる収益性が必要です。
施設の運営現場では、接客、人員配置、商品、設備、売上など、日々の実務を動かさなければなりません。
住民にとっては、暮らしや地域への想い、長く築いてきた人間関係も重要です。
同じ地域を見ていても、立場によって大切にしているものや使う言葉は異なります。
だからこそ、どこか一つの立場だけで地域の魅力を決めるのではなく、
それぞれの声を聞き、共通する価値を見つけていく必要があります。
私たちは、道の駅、温浴施設、加工場、イベント運営、ふるさと納税、公共施設など、実際の現場に関わってきました。
そこで感じるのは、現場には多くの魅力や想いがある一方、それを発信できる言葉や時間、仕組みが十分に整っていないことがあるという点です。
運営スタッフは、来訪者に地域の魅力を直接伝えられる存在です。
生産者や事業者は、商品や仕事の背景にある地域の物語を持っています。
住民は、観光情報だけでは分からない暮らしの価値を知っています。
こうした現場の声を拾い、地域内で共有し、外部にも伝わる言葉へ整えることが必要です。
制度を現場へ伝える。
現場の声を行政へ届ける。
住民や事業者の想いを整理する。
そして、それぞれの立場が納得できる形で発信へつなげる。
私たちは、この『通訳・調整役』として伴走しながら、地域に情報発信の力が残る状態をつくることを大切にしています。
外部の支援者だけが魅力を見つけ、文章や動画をつくり続ける方法では、支援が終わった後に発信が止まってしまう可能性があります。
地域の人たちが自分たちの価値に気づき、自分たちの言葉で語り、新しい情報を発信し続けられる。
その状態を目指すことが、シティプロモーションの自走化につながります。
5)シティプロモーションの成果は、地域に残る『関係』と『誇り』
シティプロモーションの成果を確認するためには、
Webサイトの閲覧数、SNSの反応、動画の再生数、来訪者数、問い合わせ数など、さまざまな数字が必要です。
数字を確認することで、情報が届いているのか、どの内容に関心が集まっているのかを把握し、次の改善へつなげられます。
しかし、数字だけでは見えにくい成果もあります。
・地域を訪れた人が住民と出会い、また訪れたいと思う。
・地域産品を購入した人が、その背景にある仕事や想いを知り、継続的に応援する。
・地域の活動へ参加した人が、関係人口として長く関わる。
・地域外からの反応を通じて、住民が自分たちの街の価値に改めて気づく。
こうした関係や意識の変化も、シティプロモーションが地域にもたらす大切な成果です。
来訪者や閲覧数が一時的に増えても、
その後に地域との関係が残らなければ、持続的な地域づくりへつながりにくくなります。
一方で、大規模な注目を集めなくても、
地域を繰り返し訪れる人や、商品を継続購入する人、地域の仕事や活動に関わる人が少しずつ増えていけば、
その関係は地域経済の循環を支える力になります。
そして、地域外の人から、
「この地域の文化を大切にしてほしい」
「この商品や仕事には価値がある」
「また、この街を訪れたい」
と言ってもらうことで、住民自身が地域の魅力を見つめ直すことがあります。
シティプロモーションの最終的な目的は、地域外から多くの人を集めることだけではありません。
地域に暮らす人が心豊かに暮らし、自分たちの街を好きになり、地域の価値を自分たちの言葉で語れるようになることです。
そのうえで、地域外の人との継続的な関係が生まれ、
農家や事業者、企業、施設、自治体など、地域に関わる人たちがともに豊かになっていく。
シティプロモーションとは、そのような地域の未来をつくるために、価値を見つけ、共有し、伝え、関係を育てていく取り組みではないでしょうか。
私たちは、地域の外から完成した答えを持ち込み、一時的な情報発信だけを行うのではなく、
地域にすでにある価値や想いを見つけ、地域の人たちが自分たちで発信を続けられる土台を一緒につくることを大切にしています。
シティプロモーションの方向性整理、シティプロモーションサイトの企画、地域の価値の言語化、公共施設や道の駅を活かした情報発信、地域ブランディング、関係人口の創出などについて課題を感じている方は、まずは情報交換からお話しできればと思います。
地域ごとの歴史や文化、住民や現場の声を大切にしながら、その地域だからこそ伝えられる価値と、無理なく続けられる発信の形を一緒に考えてまいります。

【自治体の皆様、第三セクター・指定管理事業担当の皆様】
施設運営や地域活性化に関する課題をお持ちの場合は、お気軽にご相談ください。
私たちはコンサルティングだけではなく、研修、人材育成、施設運営支援まで一貫して対応しています。単なる提案だけではなく、現場に入り込みながらハード&ソフトの両面から伴走支援を行っていきます。
各地域に新しい価値を生み出すパートナーとして、皆様と共に取り組んでまいります。
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