人手不足の公共施設で業務をどう減らす?|道の駅・温泉施設で考えるデジタル化と業務効率化 (vol 2)

開店準備、接客、商品の補充、売上管理、発注業務、スタッフのシフト調整。
道の駅や温泉施設などの地域公共施設では、限られたスタッフがさまざまな業務を兼任していることも珍しくありません。

「人が足りないから、新しい取り組みまで手が回らない。」
「管理者が事務作業に追われ、現場を見る時間がない。」
「スタッフを増やしたいが、人件費を考えると簡単には採用できない。」

こうした状況の中で、業務の効率化は施設運営における重要な課題になっています。

人手不足への対応というと、まず人材採用を考えるかもしれません。
しかし、採用だけですべての課題を解決することは難しいのが現実です。
そこで考えたいのが、「人を増やす前に、今の仕事を減らせないか」という視点です。

デジタル技術を活用すれば、これまで人が時間をかけていた業務の一部を簡略化したり、自動化したりできる可能性があります。
ただし、何でもデジタル化すれば良いというわけではありません。

今回は、地域公共施設の人手不足に対応するために、現場の業務をどのように見直し、デジタル化による業務効率化につなげていくかを考えてみます。

人手不足だからこそ「やらなくても良い仕事」を探す

施設の現場では、長年続けてきた業務が、そのまま当たり前になっていることがあります。

例えば、
 毎日の売上を紙に記入し、その数字を別のExcelファイルへ入力する。
 スタッフから提出されたシフト希望を管理者が一人ずつ確認し、勤務表へ転記する。
 同じ内容の報告書を、提出先ごとに作り直す。

こうした仕事は、一つひとつを見ると数分程度の作業かもしれません。
しかし、毎日、毎週、毎月と繰り返されれば、相当な時間になります。

仮に、一日15分の転記作業を減らすことができれば、月20日勤務の場合、月5時間の削減になります。

さらに複数のスタッフが同じような作業をしていれば、施設全体ではより大きな改善につながります。

ここで重要なのは、すべての業務をデジタル化することではありません。

まずは、

・そもそも必要のない業務はないか。
・同じ情報を何度も入力していないか。
・まとめて処理できる業務はないか。
・自動化できる作業はないか。


といった視点で仕事を見直すことです。

必要のない仕事を残したままシステムを導入しても、業務が複雑になるだけかもしれません。

「今の仕事をどうデジタル化するか」ではなく、「今の仕事は本当に必要なのか」から考える。
これが、人手不足の現場で業務改善を進める際の大切な考え方です。

シフト作成・売上管理・情報共有から改善を考える

では、実際にどのような業務から見直せば良いのでしょうか。
道の駅や温泉施設などで、改善の効果を考えやすい業務の一つが、スタッフのシフト作成です。

例えば、
スタッフが紙や個別のメッセージで勤務希望を提出し、管理者がそれを確認して勤務表へ転記する。
さらに、人員配置を調整した後、完成した勤務表を印刷したり、個別に連絡したりして共有する。

こうした一連の作業に、毎月多くの時間をかけている施設もあるのではないでしょうか。
一方で、スタッフの経験や担当業務、必要な人員配置など、管理者が判断すべき部分もあります。

大切なのは、すべてを自動化することではなく、人が判断すべき仕事と、デジタル技術に任せられる仕事を分けることです。

また、売上管理も改善しやすい業務の一つです。
毎日の売上や利用者数をExcelやスプレッドシートで管理し、集計を自動化すれば、月末の報告書作成にかかる時間を減らせる場合があります。
数字を入力するだけで終わらせず、曜日別の売上や商品別の販売実績などを確認できるようにすれば、施設運営の改善にも活かせます。

情報共有についても同様です。
スタッフへの連絡が口頭や紙の掲示だけになっている場合、伝達漏れや確認の手間が発生することがあります。
共有する情報の種類や方法を整理し、必要に応じてデジタルツールを活用することで、スタッフ間の連携を改善できる可能性があります。

ただし、施設によってはデジタル機器の操作に慣れていないスタッフもいます。
そのため、便利なツールを導入することよりも、現場のスタッフが無理なく使い続けられる仕組みをつくることが重要です。

業務効率化で生まれた時間を何に使うか 

業務効率化というと、作業時間や人件費を削減することに注目しがちです。
もちろん、限られた予算で運営する第三セクターや指定管理施設にとって、経費を適切に管理することは大切です。
しかし、人手不足の施設では、業務効率化によって生まれた時間をどのように使うかも考えておきたいところです。

例えば、
 ・事務作業にかかる時間が減れば、スタッフが売場を見る時間を増やせるかもしれません。
 ・利用者の声を聞く時間ができれば、サービス改善のヒントが見つかるかもしれません。
 ・地域の生産者や事業者と話す機会が増えれば、新しい商品やイベントの企画につながる可能性もあります。
 ・道の駅や温泉施設などの地域公共施設には、利用者へのサービス提供だけでなく、地域の魅力を伝え、人と地域をつなぐ役割もあります。

そのため、デジタル化によって単純作業を減らすことは、施設のサービスや地域との関わりを充実させることにもつながります。
一方で、システムを導入しても、従来の紙の管理が残っていたり、スタッフが使いこなせなかったりすれば、かえって負担が増えることもあります。

導入前には、誰が使うのか、どの業務を減らすのか、どのくらい時間を削減できそうかを整理しておくことが大切です。

また、施設ごとにスタッフの人数や勤務形態、業務の進め方は異なります。
新しい仕組みを取り入れる際には、現場の実情に合っているかを確認することも欠かせません。
そして導入後も、実際に作業時間が減ったのか、スタッフの負担が軽くなったのかを確認し、必要に応じて改善を続けていく必要があります。

人手不足を解決する方法は、人を採用することだけではありません。
今ある仕事を見直し、必要な業務に人の力を集中できる環境を整えることも、一つの方法です。
まずは施設の中で、毎日繰り返している作業や、特定のスタッフに負担が集中している仕事を一つ探してみてはいかがでしょうか。

人がやらなくても良い仕事を減らし、人だからこそできる仕事に時間を使う。
こうした改善の積み重ねが、人手不足の中でも持続可能な施設運営を続けていくための力になるのではないでしょう


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弊社では公共施設のスタッフや地域企業を対象に、IT・DXの活用や人材育成に関する研修を実施しています。
生成AIを含むデジタル活用や業務効率化、マーケティング視点の導入など、現場で実践できる内容を重視したプログラムを提供しています。

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